雨あがりの運動会

保育園の運動会。
朝からけっこうな雨が降っていて、「これは中止じゃないの?」と保護者もざわついた。

そんな中、少し混乱しつつも2階のホールで運動会はスタート。幼児クラスのはじまりの歌の後は、乳児クラスの取り組みが進んでいました。

子どもの出番が来るまで時間があったので、2階の渡り廊下で待機していたら、まだ雨が降る中、レインコートを来て園庭の水たまりをスポンジですいとる人影が。

先生かな?と思ったら、お父さん!?

月に1回父の会をするほど仲の良いお父さん達が、何か出来ることがないかと動きはじめていました。

その姿を見た人達が、雨上がるかもしれんし、一緒にやろか!と一斉に園庭に出て、園庭整備が始まりました。
父・母だけでなく、祖父母や卒園した小学生、他園に異動になった先生など、気がついたら50人以上の人が自然と動いていました。

水を吸い出すスポンジがなくなると、子どもたちの遊び道具入れからスコップやお弁当箱を出してきたり、ぞうきんを借りてくる人。
水がたまったバケツを流しに行く人。
手押し車で砂場の砂を運ぶ人。
ほうきでならす人。
ローラーで平らにする人。
白線を弾く人。
子どもたちの観覧席を用意する人。
それぞれに役割を見つけて、1時間くらいで運動会ができるまでに仕上がりました。
2階から「お父さん、お母さん、手伝ってくれてありがとー!!」と子どもたちの声援もとんできました。

やっと園庭整備ができた!と思ったら、また少し雨が降り出し、先生達も判断に迷っていたところ、園庭から「大丈夫!できるって!外でやろう!!」と保護者の声があがり、幼児クラスの玉入れから外に出ることが決定!
途中、小雨が降る場面もありましたが、なんとか無事に全ての種目をやり遂げることができました。子ども達の一生懸命取り組む姿を見て、思わず涙がこみ上げてきました。

最後のあいさつで、園長先生も涙ぐみながら、今日は本当にありがとうございました。と仰っていました。

運動会後、各クラスでお昼ご飯を食べながら感想を聞き合っていたとき。
「私、感動した!日本人はすごい!ギブアップしない!今日は本当にありがとうございました。」
と、あるお母さんが片言ながら一生懸命話してくださいました。
みんなの思いが一つになって、みんなでつくった運動会。

「この地域に保育園を」と保護者の願いでつくられた保育園。設立40周年の節目。

この日突然できたことではなく、これまで長い年月をかけて、先生と保護者と子どもたち、みんなでつないできた歴史と、積み上げてきた信頼関係があってこその出来事だったのだと思います。
「よい保育ってなんだろう?」
という講演の中で、「保育の質を高めるのは、学歴やIQではなく、継続性と【受け止め、伝え返す】応答的な関わりだ」というお話がありました。

あの運動会では、保育園任せではなく、みんなでつくってきたからこその「よい保育」を実感することができました。

これからも、自分のできること、自分たちのできることから、一つずつ、声をかけあいながら日々をつくっていけたらいいなと思います。

koco’s life

いにしえの道から未来へ続く縦の糸。 人から人へと広がる横の糸。 自然に、人に、感謝する。 心に残る日々のできごと。